この本を書いたのは2015年、ギリシャで金融危機時に財務大臣を務めていたヤニス・バルファキスさんです。
「読み終えた瞬間、世界が180度変わって見える」という謳い文句に惹かれて買って読んでみました。
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
- 作者:ヤニス・バルファキス
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/03/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
<面白かったところ>
過去、農耕社会が土台となった国家では、余剰(富)の配分が偏っていたとき、貧しい農民の反乱を抑えるために「支配者だけが国を支配する権利を持っている」と、庶民に固く信じさせていた。
この話は、今わたしが見ている海外ドラマの「ゲームオブスローンズ」の世界を表していると思いました。
「名家」が自分の統治する民を従えて、数ある国を統治するために争いを行う。
その争いについていく民は、自分たちの主こそが自分の暮らしを豊かにすると信じている。
勝つ=富を増える(奪える)、負ける=富を奪われる(命を失う)という世界。
金持ちは、自分がカネを持つに値する人間だと思い込んでしまう。人間は、自分が何を持っていると、それを当然の権利だと思う。
この言葉は身に沁みます…
人の既得権益は羨ましく思って、自分のものは当たり前ものだと考えてしまう。
きっとそんな世の中だから、格差はなくらないのだろうと思いました。
生まれてきた赤ちゃんは裸で生まれてくる。その後に高価な服を着ることが出来る赤ちゃんもいれば、お腹を空かせ、すべてを奪われ、惨めに生きる赤ちゃんもいる。それは赤ちゃんのせいではなく、「社会」のせいだ。
すべてを社会のせいにすることはできないけど、確かに生まれてくる新しい命のせいではない…
その社会を生み出してきたわたしのせいなのかと考えさせられました。
自動化によるコスト削減は製造業同士の過酷な価格競争を生み出す。
独創的で唯一のブランド力を持ってない企業が生き延びて成長していくためには、競争相手を勝ち抜いていき、相手の領土(お客さん)を奪っていく必要がある。
まさに現代も国家を会社や社会に置き換えたゲームオブスローンズの世界だ。笑
ということでこの本を読んで学べたことはたくさんありました。
ただし、「経済の話」というか、「資本主義社会の歴史」を貨幣が生まれたときから、わかりやすく書いてくれている本だと思いました。
ちなみにわたしはこの本を読んで、180度は世界は変わりませんでしたが、1度くらいは心が動いたかもしれません。